Deep learningの米国・日本の事例とスタートアップ
・ブログ開始のご挨拶、自己紹介
東京のテック系スタートアップで働いています。学生時代はBASICでプログラミング、その後HTMLやCSS、Ruby on RailsでのWebサービス開発、PythonでのDeep learningに取り組んできました。現職ではCtoC のWebサービス事業責任者、SaaSモデルのWebサービス事業責任者を務めてきました。プロダクト開発が趣味です。
ブログ開始の背景ですが、お客様や面接にお越しになられる方からよく頂くご質問に対して、口頭ベースだけでは理解の難しい内容もあり、ブログの形でドキュメント化して共有させて頂く事で少しでもお役に立てればと考え今回ブログを開始致しました。
対象者はスタートアップ、テクノロジーにご興味のあるビジネスサイドの方となります。HTML、CSSに関する基本的な知識やプロジェクトマネジメントのご経験のある方であれば、内容的には理解できるレベルかと思います。
なお、開発ブログではありませんので、技術的な内容はエンジニアでない方でも理解しやすい内容に簡略化した上で記載させて頂いております。Deep learningの専門的な技術内容に関しては本ブログのスコープ外としておりますのでご留意頂ければ幸いです(エンジニアの方には物足りない内容かと思いますので)。
・Deep learningについて
1:よく聞かれるAIについて
http://qiita.com/sakaiakira/items/9da1edda802c4884865c
スタートアップ業界のみならず、大手企業も含めて人工知能に関しては注目が集まっているかと思いますが機械学習と深層学習に関しては正確に理解する事は簡単では無いかと思います。書籍ごとに定義も異なることが多いと僕自身感じています。
現在のAIは第三次AIブームと呼ばれる流れにのっており、人口知能に関しては過去2回ブームが発生しては終焉している背景があります。しかし、今回はDeep learningというブレークスルーは起こり、インターネットの普及・発展と相まって一気に人工知能に関してドライブがかかっていると考えております。
2:AIとは? 機械学習と深層学習
そもそも、Deep learningとは何か? という問いですが、深層学習自体は機械学習の一部となります。基本的に教師有り学習を中心としてレコメンド機能等を得意としていて機械学習に加え、特徴量の抽出といった「コンピューター自体が考える」という機能が追加されたのがDeep learningとなります。有名なターニングポイントして、Googleが猫の画像を判別できる成果を上げた、というのがあります。
3:米国のAIスタートアップ
・Affectivaについて(画像認識、感情認識AI)
http://www.affectiva.com/#what-you-can-do http://www.affectiva.com/Deep learningのスタートアップで有名なところでは、米国のMITメディアラボ出身のラナ・エル・カリウビとロザリンド・ピカードが起業したAffectivaがあります。この会社は、世界中の人間の表情を30ヵ国、50万人程分析し、その特徴量を抽出する事によって表情から感情を分析する事に成功しました。ビジネスとしては広告効果の算定、といった活用方法があげられます。調達額は既に3372万ドル(日本円にして35億以上)であり、非常に今後が注目されるスタートアップです。
来日の際にお会い致しましたが、カリスマ性のある方かと感じました。
4:日本のAIスタートアップ
・ABEJA
http://tech-blog.abeja.asia/entry/object-detection-summary https://www.abeja.asia/一方、日本では小売店向けのDeep learningサービスのABEJAがあげられます。2012年起業のスタートアップですが、深層学習を活用したサービスを展開しており、既に8億5千万円の調達を行っております。プログラミングだけでなく、GUIを意識したサービス開発を行っている点は、他のスタートアップと比べても一歩先を進んでいると感じます。
・プリファードネットワークス
http://www.todaishimbun.org/pfn-nishikawa20160724/ https://www.preferred-networks.jp/ja/また、トヨタ自動車やファナックと組んで自動運転やIoT領域で注目されている会社にプリファードネットワークス社があげられます。シンプルに技術力が高く、優秀なエンジニアアを確保しています。自動車だけでなくドローンとの連携なども行っており、こちらも既に18億円以上調達するなど今後に期待できるスタートアップです。
5:米国の大手企業のAIの活用
世界の大手企業ではGAFAが圧倒的な存在感を示しており、プログラミングにおけるライブラリに関してはGoogleが先行しております。Google翻訳にはDeep learningの技術が使用されておりますが、下手な翻訳よりよっぽど精度が高く、しかも学習し続けることで精度を向上し続けるという力を持っています。
・IBM
https://www.ibm.com/jp-ja/BtoB側ではIBMのWatsonがコールセンター、医療系を始め様々な分野に進出しております。IBMはエンジニアだけでなく、ビジネスサイドにおいてもAI部門を強化しており、この点はエンジニアオリエンテッドな会社に比べ実業面での効果に関しても踏み込んでいると感じます。
6:日本の大手企業のAIの活用
・リクルート
http://www.recruit.jp/meet_recruit/2016/01/it02-2.html http://www.recruit.jp/日本の大手企業では、リクルートがアメリカのMITメディアラボから人材を招聘し大量のデータを活用して次々と新しいソリューションを開発しています。リクルートはエンジニアではないビジネスサイドの人材でも人工知能を活用できる体制作りに取り組んでおり、既に4,000人以上の従業員がAIを活用できる状態となっております。
・みずほ銀行
https://robotstart.info/2016/09/29/mizuho-watson-yt.html https://www.mizuhobank.co.jp
また、みずほ銀行ではコールセンターのAI化を進めており、アウトソーシンングで対応していたコールセンター業務をAIに置き換えております。ちなみに、ここで試用されているのはIBMのWatsonとなります。
7:Deep learningを実装してみて
僕自身Deep learningを実装する際にはPythonを使用しています。初心者から経験者まで使い易く、またサーバーサイドでの開発からそのまま同じ開発言語で対応出来るのが便利な点です。ライブラリも充実しており、ゼロベースからではなくある程度パッケージが整った状態から開発を行う事が可能です。
8:Deep learningにおいて重要な事
なお、Deep learingに関してはプログラミングだけでなく、元となるデータとその質がポイントとなります。きちんとしたデータが無いと、学習効果は薄まります。例えば、質の低いデータを何度も読み込ませたとしても段階的に成長するとは限らないのがDeep learningの難しいところです。その為、いかに学習サイクルを構築し良質なデータを学習させ続けるのか? といった要素が必要となります。
また、データに関してもただデータがあればよいというものではなく、データベースとして活用できるよう正規化されている必要があります。この点に関しては、プログラミングというよりは統計学の領域に属する内容が多分に含まれております。
日本ではあまり使用できるデータがありませんが、アメリカでは非常にデータが自由に使える状態となっており、僕は大抵アメリカのデータを読み込ませてDeep learningの試行錯誤を行っております。
いかに良質なデータを取得できるか? という点はDeep learningにおいて重要なポイントになるかと思います。
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Writer Masafumi Asakura